高橋たねを



昭和 五年    兵庫県生まれ

昭和五十九年 海程賞受賞

平成 二十年  海隆賞受賞

平成二十三年 肺炎の為、逝去。



高橋たねを代表作
 
舞いくるうまま水に入る牡丹雪

昴のぼる配管工即フンボルトペンギン

牛の舌生( なま)の観念巻き込んだ

土( つち)かた我いま歯白き苗族( みゃお)の子と

光のコマンドよ青啄木鳥( あおげら)は撃つな

熟柿吸うコンプレックス火照るかな

人間( ひと)の子を玉( ぎょく)と掴むや青葉木菟

花八つ手金( きむ)酔えば朴( ぱく)さびしいよ

老斑か豹紋か枇杷の種飛ばす

おなじ眸をして華人韓人川とんぼ

西班牙てふ語韻まぶしい野狐よ





野ア憲子

昭和二十八年  香川県生まれ

 金子兜太に師事
 「海程」同人    現代俳句協会会員

平成十五年    朝日俳壇賞受賞  金子兜太選  
平成十八年    海程会賞受賞
平成二十四年   海程賞受賞
平成二十五年   句集 『源』上梓




野ア憲子自選句



潮騒や純白の蝶てのひらへ

しやぼん玉芭蕉の耳は小さかり

火は水を水は火を恋ひ螢

日輪をすつと貫く草矢かな

雨上りじだじだしただ揚羽来る

ヒロシマの石に言の葉うましめよ

満月にあつまつてくる樹よ鹿よ

霧深し瀬戸大橋は天の川

釣瓶落しこの位置は譲れない

朝霧はやし源へ還るかな

猪も鴉も素足ひかり巻く




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