ひとつまみ塩を足したる野分後 | 亀山祐美子 |
青空に一片の雲冷やし瓜 | 小山やす子 |
絵具のように毛氈苔は真剣です | 久保 智恵 |
秋茄子の色こそよけれもいでくる | 木しげ子 |
小さきひと親と並んで渡り鳥 | 豊原 清明 |
花巻貝誤植は月の鱗です | 野崎 憲子 |
夕されば主婦の眼猛し野萱草 | 野田 信章 |
他人にも「To my mother 」と書く河鹿 | 古澤 真翠 |
半身は水に溶けゆくキリギリス | 増田 天志 |
切っ先の触れたる闇や金木犀 | 矢野千代子 |
病みし姉スカートはもう藤袴 | 若森 京子 |
月光の容赦なく折れ水漬き村 | 市原 光子 |