<事前投句参加者の一句>
山の尾根雷神相撲の土俵際 |
侑 海 |
犬の尾のくるんと巻いて晩夏かな |
木しげ子 |
切っても切っても戦争は尻尾です |
若森 京子 |
尾鰭にも背鰭にもなり夏の雲 |
古澤 真翠 |
稲妻の尾に触れ君の街遠し |
小山やす子 |
明け易し木霊の掉尾耳たぶに |
矢野千代子 |
老猫の狂喜深夜の兜虫 |
野澤 隆夫 |
夏の夜は唇にふと溜まる、 もの |
小西 瞬夏 |
ほんとうの出口はひとつ蝶が来て |
河野 志保 |
みぞおちは軍港鬼灯うす明かり |
増田 天志 |
炎ゆる日の木陰に小さな風の音 |
漆原 義典 |
古代蓮蛇や蛙やみな童顔 |
野田 信章 |
滝の声入り集合写真出来あがる |
稲葉 千尋 |
呑みこんだ流星ひとつ きっと躁 |
市原 光子 |
少女から女人へ蠍座の赤眼 |
野ア 憲子 |
そこにある海が遠くて秋なのね |
柴田 清子 |
八月の声なき人の群れてをり |
亀山祐美子 |
「深海に」の巻
捌き 増田天志
打水の映画館街犬一匹 |
野澤 隆夫 |
引けるだけ引く庭の雑草 |
千尋 |
爪切りすぎて星くずになる |
瞬夏 |
髪束ね紅さし指の白さ細さ |
祐美子 |
夜更けて部屋に脱ぎ散らす花 |
柴田 清子 |
天空を駈ける巨人の名は兜太 |
憲子 |
有刺鉄線ぎしぎしゆらす |
瞬夏 |
冬の月仰ぎて祈る影法師 |
天志 |
遠回りして会う雪女 |
瞬夏 |
裏山の山の声聞く昼の雨 |
清子 |
ほぐしとかしてあやとりのいと |
祐美子 |
ことごとく光りの中へ花筏 |
憲子 |
<句会メモ>
今回は、四日市から稲葉千尋さん、大津から増田天志さんが、「青春18きっぷ」で駈けつけてくださいました。
岡山の小西瞬夏さんは、できたてほやほやのDVD句集「めくる」をご披露くださいました。
作品も映像も抜群に素敵な処女句集です。皆さま、ありがとうございました。
事前投句の合評の後、増田天志さんの捌きで、全員参加の連句会をいたしました。
午後3時ころから午後5時ぎりぎりまでニ時間弱で、半歌仙の万尾となりました。
私をはじめ、連句初心者が多く、ご指導が大変だったと思います。増田さん、感謝です。
9月は、「袋回し」句会を予定しています。事前投句の合評の後、お一人ひとつのキーワードを出していただきその
お題の入った作品を創ってまいります。午前の吟行句にちょっと捻りが加わり、思わぬ佳句が生まれたりします。
詳しくは、「句会案内」をご覧ください。お楽しみに!