香川句会報 第20回(2012.8.18)於、サンポ−トホ−ル高松


 


<事前投句参加者の一句>

山の尾根雷神相撲の土俵際 侑    海
犬の尾のくるんと巻いて晩夏かな 木しげ子
切っても切っても戦争は尻尾です 若森 京子
尾鰭にも背鰭にもなり夏の雲 古澤 真翠
稲妻の尾に触れ君の街遠し 小山やす子
明け易し木霊の掉尾耳たぶに 矢野千代子
老猫の狂喜深夜の兜虫 野澤 隆夫
夏の夜は唇にふと溜まる、 もの 小西 瞬夏
ほんとうの出口はひとつ蝶が来て 河野 志保
みぞおちは軍港鬼灯うす明かり 増田 天志
炎ゆる日の木陰に小さな風の音 漆原 義典
古代蓮蛇や蛙やみな童顔 野田 信章
滝の声入り集合写真出来あがる 稲葉 千尋
呑みこんだ流星ひとつ きっと躁 市原 光子
少女から女人へ蠍座の赤眼 野ア 憲子
そこにある海が遠くて秋なのね 柴田 清子
八月の声なき人の群れてをり 亀山祐美子



「深海に」の巻

                                  捌き  増田天志
深海に眠る真珠よ初嵐 野ア 憲子
  見えてかくれて遠き新月 稲葉 千尋
空耳はとんぼの群れの中にいて 小西 瞬夏
  ゆくへしれずのをとこのたより 亀山祐美子
打水の映画館街犬一匹 野澤 隆夫
  引けるだけ引く庭の雑草     千尋
嬰泣きて顔近づけてえびすさま 木しげ子
  爪切りすぎて星くずになる     瞬夏
髪束ね紅さし指の白さ細さ    祐美子
  夜更けて部屋に脱ぎ散らす花 柴田 清子
天空を駈ける巨人の名は兜太     憲子
  有刺鉄線ぎしぎしゆらす      瞬夏
冬の月仰ぎて祈る影法師     天志
  遠回りして会う雪女     瞬夏
裏山の山の声聞く昼の雨     清子
  ほぐしとかしてあやとりのいと    祐美子
ことごとく光りの中へ花筏     憲子
  ゴンドラ揺れる長閑なる日々     天志
(敬称略)


<句会メモ>

今回は、四日市から稲葉千尋さん、大津から増田天志さんが、「青春18きっぷ」で駈けつけてくださいました。
岡山の小西瞬夏さんは、できたてほやほやのDVD句集「めくる」をご披露くださいました。
作品も映像も抜群に素敵な処女句集です。皆さま、ありがとうございました。

事前投句の合評の後、増田天志さんの捌きで、全員参加の連句会をいたしました。
午後3時ころから午後5時ぎりぎりまでニ時間弱で、半歌仙の万尾となりました。
私をはじめ、連句初心者が多く、ご指導が大変だったと思います。増田さん、感謝です。


9月は、「袋回し」句会を予定しています。事前投句の合評の後、お一人ひとつのキーワードを出していただきその
お題の入った作品を創ってまいります。午前の吟行句にちょっと捻りが加わり、思わぬ佳句が生まれたりします。
詳しくは、「句会案内」をご覧ください。お楽しみに!


 


 

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