香川句会報 第22回(2012.10.20)於、サンポ−トホ−ル高松


 


<事前投句参加者の一句>    

『題詠  月 』
ドラキュラを追ひて蝙蝠ブルームーン 野澤 隆夫
鮮明に老人がいる後の月 稲葉 千尋
わたしに夕月息子(こ)にアリゾナの朝日 若森 京子
小望月鮠(はや)はしずかに鰭焦がし 矢野千代子
城無月跨ぎて人肌いろの鯉 野田 信章
腰曲がり常に変らない満月 豊原 清明
月のこめかみ屋上の水たまり 月野ぽぽな
月光は秋の不思議な仮面です 侑    海
わたしでもあなたでもないななかまど 柴田 清子
蛍蛾やひとりになるはむつかしき 亀山祐美子
秋祭り無事に終りし半被(はっぴ)かな 木しげ子
シンプルな星屑でありプラットホーム 久保 智恵
がちゃがちゃのめっぽう人が恋しいよ 桂   凛火
いちじくの母音こぼれてしまいけり 小西 瞬夏
早稲刈りし母は背中で息をする 漆原 義典
萩茂る何処を向いても記憶の扉 小山やす子
まんじゅしゃげ旗立ててゆく旅一座 増田 天志
風を編みひかりを編みて萩すすき 市原 光子
煩悩を帯留めにして初紅葉 古澤 真翠
太陽も全力疾走小鳥来る 野ア 憲子
コスモスのバランスとって同窓生 河野 志保



<袋回し句会より抄出>


<忘れる>
忘れものとりにかへれぬ木の実かな 亀山祐美子
人の名を忘れておりぬ秋たけて 木しげ子
<泡>
泡立草山盛り黄昏コンサート 小山やす子
茜さす水泡よ風よ高松駅 野ア 憲子
<日和>
尾が揺れる脊梁山脈秋日和 野ア 憲子
やさしくも鬼にもなれる菊日和 柴田 清子
<袋>
憂きことの袋に仕舞ふ秋の風 野澤 隆夫
夜学校終えて蜜柑の袋詰め 小山やす子
<海>
身に入めり私にとって海は何 柴田 清子
秋天や海に臨みてドッグショー 野澤 隆夫
<句会>
句会とは火山口なり水の秋 野ア 憲子
のんびりと集まる鬼の月句会 亀山祐美子


<句会メモ>

秋晴れの下、午前中の、高松駅前は、土曜日ということもあって、たくさんの人でにぎわっていました。
港には、白いヨットの帆が、あちこちに浮び、爽やかな風に舞っているようでした。でも、たまにひっくり返りそうになる舟もあり・・
それをハラハラしながら見入っている人もいました。海辺のドッグショーでは、楽しそうな声が、秋風に乗って響いていました。


午後の句会の参加者は、六名。今回は、少し事情があり(ご参加の方だけの秘密です・・お題からご推察ください・・笑・・)
袋回し句会からはじめました。

事前投句は、過去最高の103句が集まり、それも美味しそうな作品が多く、どの方も選句に悩み抜いているようでした。
私も、句稿をつくりながら、一句一句から、ぶつかり合うような光を感じ、曼荼羅図を描いているような思いにとらわれました。
素敵な作品をお寄せくださった皆さまに感謝です。

次回は、「海程」香川、発足二周年目の句会となります。
自由で、熱い、火山口のような句会を目指して、精進していきたいと思います。
奮っての、ご参加を楽しみにいたしております。

                                            句会とは火山口なり星月夜・・・・・野ア憲子




 


 

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