＜事前投句参加者の一句＞」

　『 題詠　　扉　』

また軋む作句の扉文化の日	野澤　隆夫
覚悟あり雪は静かな扉です	小西　瞬夏
扉から野兎入いる新刊書	若森　京子
日の入りの早さで知りし冬扉	漆原　義典
天狼を背中に扉叩きけり	月野ぽぽな
どこそれあれみんなアンニュイ葛門扉	久保　智恵
ドアー半開私語一切が落葉です	野田　信章
扉（ドア）ノブは不発爆弾　山眠る	市原　光子
水となる前の現し身はなすすき	増田　天志
芋の露大粒小粒学歴など	小山やす子
あたしにはあたしの木菟いろはにほ	桂　 　凛火
きっと火口（ひぐち）よ鈴なりのキツネナス	矢野千代子
おしゃべりが止まらないのよ冬キャベツ	亀山祐美子
引っ越し七度転職七度生きて冬	稲葉　千尋

まじまじと人の顔見て冬に入る	柴田　清子
秋日和ユーミン聞いて嘘聞いて	侑　　　海

人間と会えば餃子も冬になる

ＫＩＹＯＡＫＩ　ＦＩＬＵＭ

ばあばあや赤いセーターさっくり着る

��木しげ子

運動会ぽっかり一人分の空

河野　志保

「秋思祭」名付けたひとのやわらかき

古澤　真翠

秋深む女も生える無精髭

鈴木　幸江

むささびは刻の透き間を遊ぶかな

野�ｱ　憲子

＜栗林公園吟行及び、袋回し句会作品より抄出＞

<11月＞

神は留守黒いカバンの底は赤

柴田　清子

フェルメール神戸で微笑む11月

野澤　隆夫

神の留守なれど朝夕拍手打つ

��木しげ子

＜鴨＞
鴨の陣水曼荼羅のこぼれゆく	亀山祐美子

鴨たたば黄花コスモス火まみれに

野�ｱ　憲子

破れ蓮を縫ふ番鴨（つがいがも）後先に	野澤　隆夫
＜冬林檎＞

軒先の冬の林檎が濡れてます	柴田　清子
冬林檎僕の心臓かもしれぬ	亀山祐美子

冬林檎風を呼んだのは私です	野�ｱ　憲子
<放課後＞

放課後の運動場は冬の海

柴田　清子

テスト終え放課後戻る冬に入る

野澤　隆夫

＜鯉＞

水底の鯉へドレミファ時雨けり

亀山祐美子

鯉ひとつ冬の扉は片開き

野�ｱ　憲子

<句会メモ＞

午前中は、時雨の栗林公園を吟行をしました。
南湖を遊覧する「千秋丸」に乗り、雨に煙る紅葉の庭を、いつもとは違った角度から拝見することがでしました。
休日は、二時間待ちが普通という遊覧船も、この日は雨で、すぐに乗ることができました。
幼い時から栗林公園に親しんでいた私も、発見の連続でした。
船頭さんが貸してくださった雨合羽のポンチョは、すっぽり体を包んでくれたのですが、写真を撮る私は、あちこち動き回るので
かなり雨に濡れてしまいました。湖の中の小島に佇む五位鷺の姿が印象的でした。

午後の句会は、いつもの通り事前投句の合評の後、上記のように各人が＜お題＞を袋に書き、それに、めいめい作品を創って入れて
いきます。意外な言葉との出会いに、思わぬ佳句が出現することがあります。それは、まさに、句会の醍醐味です。