香川句会報 第26回(2013.2.16)於、サンポ-トホ-ル高松


 


<事前投句参加者の一句>

『 題詠 : 野火 ・ 鴬 』

つと口に「色即是空」野火果てし 野澤 隆夫
いつからの情愛土をなでる野火 月野ぽぽな
野火うねるニーチェは石の眸(め)を見たか 三好つや子
千人の気配呑みたる野焼きかな 亀山祐美子
野火の昼爆笑一座の睡りかな 野田 信章
頬杖の顔がすなわち鴬よ 柴田 清子
人の暮れ鶯餅のぽとりかな 侑    海
光る音(ね)の鶯どこに かくれんぼ 古澤 真翠
早春の宇宙への旅パッチワーク 漆原 義典
骨臭き雲や冬の練兵場 増田 天志
立春やわれは海の子昭和の子 髙木しげ子
裸木の赤はプライドみよしのに 矢野千代子
半熟のいのちの固さ蝶の昼 小西 瞬夏
臘梅やひょいと人間流れ着く 若森 京子
生き方は父似の愚直春の風邪 稲葉 千尋
本積んで或いは春の鳥と成る KIYOAKI FILM
曇り硝子鼻水すする木偶の坊 桂  凛火
洞に棲む二月 口笛低く流れ 市原 光子
眠り方知らないと言う雪兎 小山やす子
セーターの奥で息する自分かな 河野 志保
仏の座クリムトのように傾ぐなり 久保 智恵
淡雪や水平線は思想です 野﨑 憲子


<袋回し句会作品より抄出>

<種>
言の葉の種すずなりに梅真白 野﨑 憲子
冬の種抱擁するに小さすぎる 小西 瞬夏
種を蒔く母の背中に春の風 漆原 義典
<水仙>
水仙の香に座禅組む荒筵 小山やす子
水仙の土手に憩ふや鷭十羽 野澤 隆夫
<人>
梅林の奥へ人間棄ててくる 亀山祐美子
水温むどこからも人現れる 柴田 清子
<梅>
梅園に鴲(しめ)のカップル諍(いさか)へる 野澤 隆夫
人間を嫌ひいつしか野の梅に 柴田 清子
<惑星>
こつこつと惑星尖り葱尖り 小西 瞬夏
小惑星接近二ン月の家族ごっこ 小山やす子
<茶>
泣き出しそうな顔して一茶種を蒔く 野﨑 憲子
茶の香あり奈落の底といふところ 小西 瞬夏
<野点>
佐保姫の眠りをさます野点かな 野﨑 憲子
早春の漣(ささなみ)光る野点かな 亀山祐美子
<早春>
野点あり早春の気の渦巻けり 髙木しげ子
早春の街角すきまだらけかな 亀山祐美子


<句会メモ>

 前代表の高橋たねをさんが急逝され、2月12日で2年を迎えました。亡くなる前年の秋、サンポートホール高松の喫茶店で、香川句会立ち上げの、ご相談をした
ことが昨日のようです。<素朴で純な連衆の場>を目指すと熱く語るたねをさんの笑顔が忘れられません。微力な私ですが、これからも、皆さまとの作品創りに専心
していきたと存じます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2月の香川句会、午前中は、地元のメンバーの方々に、徳島から小山やす子さん、岡山から小西瞬夏さんも加わり、総勢6名、栗林公園への梅見吟行に参りました。
梅林は北門寄りの赤橋附近の南梅林と正門から入ってすぐの商工奨励館の北側にある北梅林の2ヶ所にあります。どの梅の木も剪定が行き届き、さながら一幅の
絵を見るようでした。北梅林では野点のお茶会があり、美味しいお抹茶をいただきました。また、商工奨励館付近には、出店が並び、私たちは迷わず、讃岐うどんを食
べました。寒風に梅の香混じる園庭の中、ごっつわんでした。

午後は、サンポートホール高松の会議室に移動し、野澤隆夫さん、漆原義典さんも参加され、午後1時から午後5時近くまで、あっという間の句会でした。事前投句の
中の、漆原さんのパッチワークを描いた作品から話は弾み、漆原さんのご母堂の愛情あふれるパッチワークの作品や墨痕逞しい甲骨文字の秀作のご披露もあり、一同
感激いたしました。書道歴、30年。毎日、早朝に起きて書の練習を励行していらっしゃるという漆原さんのお話に、精進とは何かということを強く考えさせられました。
大きな刺激をありがとうございました。また拝見させてください。
おひとりおひとりの温かなお人柄が光る、熱い熱い句会となりました。感謝感謝です。
                                                                                      (野﨑憲子記)
inserted by FC2 system