<事前投句参加者の一句>
『 題詠 : 蛍 ・ 柱 』
蛍ですか約束をした時間です |
小西 瞬夏 |
ほうたるや星に命を貰いける |
侑 海 |
生返事ばかりしていて蛍です |
月野ぽぽな |
やわらかなはちまきでありほうたろの光(ひ) |
久保 智恵 |
風神の雷神の貌ほうたる |
野ア 憲子 |
きのうとはちがうホタルを身に纏い |
古澤 真翠 |
あだし野や唇はもう螢袋 |
若森 京子 |
蛍光の指立てていく夜の新樹 |
市原 光子 |
都会(まち)薄暑あおいあおい魚柱 |
三好つや子 |
光る海みつめておれば眠くなり |
木しげ子 |
竹皮を脱ぐくらくらと笑う男 |
桂 凛火 |
帆船五月ピッと鳥糞ありしかな |
野田 信章 |
黄水仙内耳はいつもけむるかな |
稲葉 千尋 |
薫風や佐村河内の曲はブル− |
野澤 隆夫 |
あぢさゐが真昼の音を出してゐる |
柴田 清子 |
かたばみはないしょばなしがにがてなの |
亀山祐美子 |
逃げ水や憮然と女白バイ隊 |
小山やす子 |
はりまや橋青は快速の輝き |
KIYOAKI FILM |
<袋回し句会>>
午後二時の蟻に追いつく独身者(ひとりもの) |
亀山祐美子 |
<父の水筒> |
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父の水筒夾竹桃が又咲いた |
小山やす子 |
くろがねの腕夕顔閉じはじめ |
小山やす子 |
母の日や腕捲りして厨(くりや)立つ |
野澤 隆夫 |
海紅豆ひとりの海のあをさかな |
亀山祐美子 |
九条は日本のこころ海紅豆 |
野ア 憲子 |
今回初めて、事前投句の合評の中で、「海程」の勉強会で実施されている<問題句>を選句の中の一句に加えてみました。
その作品のどこが難解なのか、それについて、他の方(特に、選に入れた方)はどう思うのか話し合いました。
私は、作曲家「佐村河内 守」の名前を知らず、句稿の中で、佐村河内のことを知りました。運よく、作者の野澤隆夫さんが、参加されて
いましたので、解説していただきました。知識を得て、ますます好きになった作品でした。金子先生も、可能性を孕んだ冒険句や問題句
を句会の中で積極的に取り上げて、意見を言ってくださいます。
今月も、気合の入った魅力的な作品が多く、大いに盛り上がりました。ご参加の皆さま有難うございました。
袋回し句会では、小山やす子さんの出された<父の水筒>という面白いお題を、参加者一同、苦労して一句に仕上げました。先の戦争が
奥にあり、味わい深い作品が多かったです。また、<海紅豆>は朝の吟行の途中で見つけたと、亀山祐美子さんが実物を持ってきてくださ
いました。ゾクっとする作品ひとつ、作者のご意向でカット。掲載できず、ちょっと残念です。
<問題句>は、当日の句会の中で、これからも取り上げて行こうと思っています。積極的な意見がたくさん出て、とても熱い句会でした。
来月も楽しみにいたしております。
(野ア憲子記)