香川句会報 第30回(2013.7.20)於、サンポ−トホ−ル高松


 


<事前投句参加者の一句>


『 題詠 :虹 ・ 足 』

八栗屋島虹のかかれる見事なり 木しげ子
虹が立つただそれだけの賑やかさ 河野 志保
作業所の友たちと見た、虹 KIYOAKI FILM
虹剥がす指濡らしては濡らしては 月野ぽぽな
天と地と裸足でつなぐ田植かな 稲葉 千尋
逃げ足の嘆き節かな霹靂神(はたたがみ)  侑   海
水打つて足の裏側けものめく 小西 瞬夏
足の爪切りて明日の山開 野澤 隆夫
目覚めれば足なき蜘蛛で生きている 桂  凛火
青水無月六疊に足すべらせて 若森 京子
足並みの揃わぬ旅や落し文 古澤 真翠
蛸足配線昭和が夕焼け色をして 市原 光子
足集い来て炎天の葬一つ 野田 信章
夏芝居お菊の足の毛むくじゃら 三好つや子
大百足かんがえたのよ四捨五入 久保 智恵
岩となる過程としてのカブト虫 増田 天志
髪洗ふ明日の自分に会ひたくて 亀山祐美子
背を抱けば尊し夏の時雨かな 小山やす子
梅雨明ける水の要塞ゲリラ雨 漆原 義典
祭鱧電子音楽器(シンセサイザー)のいくさ歌 矢野千代子
無時間の蒼き馬ゆく夏の森 野ア 憲子




<袋回し句会抄出>


<父>
横顔はどれも風なりお父さん 野ア 憲子
父は行く涸れた大地をただ一途  侑   海
<守宮(やもり)>
守宮出て四十女のけたたまし 野澤 隆夫
守宮とは家を守れる神なるか 木しげ子
<夏休み>
走り根を枕に眠る夏休み 増田 天志
夏休み僕は海と光である  侑   海
<足>
足裏の澪をくすぐり蓮ひらく 小山やす子
浜木綿や夕べの風はみな素足 野ア 憲子
<眼>
少女十六眼を病んで少し大人びる 上村 良介
遠眼鏡今日のあなたは夏の罠  侑   海
<日傘>
敵陣を一歩踏み出す日傘かな 小山やす子
おおい亀!妻は日傘で土手を行く 野澤 隆夫
<雷鳴>
天網や雷鳴太郎生け捕りに 増田 天志
ラスベガスわれは雷鳴ネオンを砕く 上村 良介


<句会メモ>

今回で、「海程」香川句会は第三十回を迎えました。ひとえに、ご参加の皆さま、ホームページをご覧の皆さま方のお陰さまです心より感謝申し上げます。
高橋たねをさんが目指された<素朴で、自由な句会>をめざし、一回一回の出会いを大切にして行きたいと思います、これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。

午前中は、栗林公園へ蓮見吟行に行ってまいりました。風が吹けば蓮池に溢れんばかりの蓮たちの乱舞が実に壮観でした。
まだ。固い蕾もあちこちに見られ、蓮の見ごろは、これからです。来月の吟行も、栗林公園にしようと思っています。

蓮の香を纏いながら、、サンポートホール高松へ移動し、午後1時より第67会議室で句会を開きました。
今回、このホームページをご覧になって、上村良介さんが、ご登場くださり、とても嬉しかったです。

事前投句は、各作者の高得点句を中心に一句ずつ掲載させていただきました。佳句満載で、全句掲載できないのが残念です。
前回から、当日句会で、問題句の選を行っています。好評に付、次回から事前投句ご参加の皆さまへの選にも取り入れようと思っています。
「海程」秩父道場で、金子先生は、問題句に注目され、講評のなかでよく話題にされます。

続く袋回し句会には、上村さんも上記のように、作品をお出し下さいました。一句のなかにドラマがあり感激いたしました。
滋賀から増田天志さん、徳島から小山やす子さん、酷暑の中、遠路をありがとうございました。
侑海さんの<遠眼鏡今日のあなたは夏の罠>野澤さんの<おおい亀!妻は日傘で土手を行く>は、高得点でした。お見事!

句会に鮮やかな色がまた一つ加わりました。作品の多様化が、新しい風の源です。次回のご参加を楽しみにいたしております。

                                                               (野ア憲子記)
   


 

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