香川句会報 第31回(2013.8.17)於、サンポ-トホ-ル高松


 


<事前投句参加者の一句>


しずかです手摺のメタル銀河かな KIYOAKI FILM
スカイツリー仰ぐ土用のハイボール 野澤 隆夫
立秋の感覚すこし三角形 月野ぽぽな
木喰の頬骨わたくしも青葉梟 久保 智恵
涙壺のせて灯籠流れゆき 古澤 真翠
母が逝き夏逝き山河緊まるかな 野田 信章
坊主刈して青田よく匂うかな 稲葉 千尋
短夜やかなしい耳たぶからはずす 小西 瞬夏
何時曲るつもり日暮れのかたつむり 小山やす子
木の葉なのか夏蝶なのか小石の死紋 増田 天志
蝉時雨落ちる先から眠れます  侑   海
自然死がいい喉ごしのよき心太 若森 京子
空蝉やふっと定年後の姿 漆原 義典
森に棲むソムリエと居る夏休み 桂  凛火
秋アカネ見上げておれば人の来る 髙木しげ子
酔ひどれて朦朧それもまた銀河 上村 良介
セルロイドは昭和のほっぺた浮いて来い 三好つや子
星飛びしあたりに戦火今も炎ゆ 市原 光子
.秋立ちぬ辷りやすきは祖母の膝 矢野千代子
八月の拳の中の風騒ぐ ;亀山祐美子
夕立が合図アザミ駅から汽車に乗る 野﨑  憲子



<袋回し句会>


<花火>
笑む月は花王石鹸遠花火 野澤 隆夫
どこかで花火白い布地を細く裂く 小西 瞬夏
<空>
航跡は懺悔に似たり秋の空 増田 天志
炎天にわたしの頭も空となり 漆原 義典
<骨>
蝙蝠は夢の続きよ肩甲骨 野﨑 憲子
骨太になれとさし出す母の乳 漆原 義典
<百日紅>
百日紅夜の深さを試すべし 小西 瞬夏
百日紅ことしも咲いてくれました 髙木しげ子
<終戦日>
折りたたむ手足のかたち終戦日 小西 瞬夏
女生徒の生ま足並ぶ終戦日 小山やす子
四万十は四十一度終戦日 野澤 隆夫
<鈴虫>
鈴虫になるまでメール打つ女 小山やす子
鈴虫やかくれんぼうの時間です 野﨑 憲子
<尻尾>
悪戯っぽい尻尾だね秋の虹 増田 天志
尻尾ふる犬こそ夏の暑さかな 髙木しげ子

<句会メモ>
今月の当日句会に、小西瞬夏さんが半年ぶりのご参加。大津からの増田天志さん、徳島の小山やす子さんに、地元高松の侑海さん、漆原義典さん、野澤隆夫さん、
さぬき市から、高木しげ子さん、そして私の8人が集まり、サンポートタワーの展望レストラン「ALICE IN 髙松」で、久々にランチをいただきました。。
瀬戸内海の見渡せるレストラン・・・句会を立ち上げる前に高橋たねをさんと訪れ、「県外からの来てくれた俳人と語るのにちょうどいい場所」と高橋さんが嬉しそうに話していらしたのが昨日のことのようです。
瞬夏さんの「海程」新人賞受賞のお祝いの乾杯に、海光もぐんと光を増したようです。

6月の当日句会より、問題句を選に入れました。秩父俳句道場でも金子先生が積極的に取り上げていらっしゃいます。今回から、事前投句へご参加の方々にも問題句の選をお願いしました。
因みに、話題となった問題句は「長い昼愛ではないのならなあに(小西瞬夏)」「ゴーギャンの赤とゴッホの黄色夏野菜(三好つや子)」「木の葉なのか夏蝶なのか小石の死紋(増田天志)」「逃げ水のように鉄橋を越えて妹(久保智恵)」などでした。
作品も鑑賞も千差万別。そこから立ち上がってくる作品を楽しみにいたしております。次回、どんな冒険句が現れるのか今から待ち遠しいです。

午後の句会は、先約があってご多忙の上村良介さんもお顔を見せてくださり、袋回しの選もしてくださいました。ありがとうございます。今回の袋回し句会は、小西瞬夏さんが、絶好調でした。全句掲載できないのが残念です。

                                                                                                                          野﨑憲子記


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