香川句会報 第45回(2014.11.15)於、サンポートホール高松
事前投句参加者の一句
もう賀状欠礼するか十一月 | 野澤 隆夫 |
ハロウィンの帽子をかぶり授乳かな | 三好つや子 |
冬銀河心身天然となりゆく | 若森 京子 |
木枯はウォール街の中に棲む | 三枝みずほ |
卵生のことば温め日向ぼこ | 市原 光子 |
息白しドロップのごと人が来る | 久保 智恵 |
冬雲や試されている冬雲に | 鈴木 幸江 |
追憶やいま木枯らしのたどりつく | 竹本 仰 |
枇杷の花叩いて帯の締め具合 | 小山やす子 |
花束の冷えて売られてゆく朝(あした) | 田村 杏美 |
初時雨浮世離れの友来たる | 古澤 真翠 |
覚悟とは小春日和の大欠伸 | 桂 凛火 |
おもちゃ獅子一緒に舞ってとせがむ孫 | 漆原 義典 |
見えいて遠いかりん一個と孫の頭と | 野田 信章 |
雨音は明朝体です夜長です | 谷 孝江 |
ゆたかなる白石持や石蕗の花 | 稲葉 千尋 |
鯨汁魔除けの貝吊る海士の家 | 郡 さと |
少年に木の実の叩く窓がある | 重松 敬子 |
キリストの似顔絵嫌う冬将軍 | KIYOAKI FILM |
柿の朱を仰げばコツと古希過ぎぬ | 高橋 晴子 |
ねこじゃらし背筋をなぞりゆく汽笛 | 増田 天志 |
このとしで迷子なのかな枯落葉 | 中西 裕子 |
爪切れば月光に指濡れやすし | 小西 瞬夏 |
半眼でモニターの猫露の朝 | 中野 佑海 |
まんじゅしゃげ空にひっかき傷あまた | 月野ぽぽな |
灯台を置くだけの島冬鴎 | 景山 典子 |
湯豆腐をネギで支へて息をさせ | 銀 次 |
炎にも水にもなりてまんじゅしゃげ | 加藤 知子 |
新胡麻を摺り真っ先に母消さん | 矢野千代子 |
赤き実の十一月の朱さかな | 亀山祐美子 |
笑ったら笑った分だけ小春日よ | 柴田 清子 |
後の月ゆるり渦巻く海の色 | 木 繁子 |
日のまだら風の斑や蒼鷹(もろがへり) | 野ア 憲子 |
ほんとうは走り出したいコスモスよ | 河野 志保 |
句会の窓
- 柴田 清子
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特選句「少年に木の実の叩く窓がある」随分と年を重ねてきた私にある窓は、今、何を映してくれているのでしょうか?そんな事を、ふっと思いながら、過ぎて来た昔々を思い出させてくれた「木の実の窓」であった。そして少年期の少年の哀感があふれているので私の特選とした。「毒を飲む女ひとりに天高し」一体、この毒は何の毒だろうか。この一句に流れている潔さが、すごく好感を持てる。
- な お み
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今日は大変お世話になりました。封筒回しはとても難しく勉強になりました。 来月また参加したいと思ってます。宜しくおねがいします。特選句「道草を食ふて釣瓶を落としけり」寄り道をした間に日が暮れてしまった秋の景が絵のように浮かびました。幼き頃遊んで我が家に帰る夕暮れが見えました。
- 景山 典子
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昨日は楽しく充実した句会、ありがとうございました。これほど自由に何でも言えて、すっきりとした気分になれる句会はなかなかありません。では、特選句「枇杷の花叩いて帯の締め具合」季語はもう少しはなやかな感じの花が良いかとも思いましたが、「叩いて帯の締め具合」という言い方にとても魅力を感じました。着物を着る女性の所作がよく描かれています。問題句「道草を食ふて釣瓶を落しけり」敢て問題句としましたが、とても好きな句です。ただ「釣瓶落とし」を「釣瓶を落とす」という風に変形していいものかどうか疑問に思いました。この部分が魅力とも言えるのですが・・
- 野澤 隆夫
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昨日は句会でお世話になりました。今回も一〇〇句以上の中からの一〇句選。いい句がたくさんありました。袋回しも面白かったです。出てきた言葉にさてと考えて、その場での作句は一寸難しい。今回もいくつか作った句に言葉のすげ替えと言う苦肉の策。でもすげ替えてよくなり、アリャリャと感心したり…。 「ミスド一個おまけに付くや小六月」→「ミスド一個おまけに付くや銀杏踏む」これもすげ替え。「あてもなくコトデンに乗る秋の晴」→「あてもなくコトデンに乗る冬の雲」さて句評。特選句「木枯はウォール街の中に棲む」美しいモノクロの映像が浮かびます。ウォール街を古いカンヌ・グランプリー第三の男<Iーソン・ウェルズが歩いている。木枯らしはハリーライムのテーマ曲。映像が浮かびます。問題句「キリストの似顔絵嫌う冬将軍」モスクワ進攻のナポレオン。厳寒と積雪にキリストの顔を見たのか。何とも不可思議な感がして問題句としました。
- 中野 佑海
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特選句「ねこじゃらし背筋をなぞりゆく汽笛」です。宮崎駿監督作品「となりのトトロ」に出て来る「猫バス」を彷彿とさせるノスタルジックな俳句ですね。とっても面白かったです。特選もう一点は「夜が来る優しさ芋の露ころり」です。こちらは後半の「芋の露ころり」の語呂がすごく良くて、昔話の題になりそうな語感が耳に心地良いです。私もこんな流れる様な俳句を作ってみたいと思います。
- 郡 さと
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特選句「ほんとうは走り出したいコスモスよ」コスモスの気持ちになったことのなかった私にとって、新鮮な句でした。妖精が空に飛んでいる挿絵画家の絵が好きです。もしかすると、あの妖精達はコスモスの変身した姿かもしれません。楽しい句でした。
- 増田 天志
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特選句「あやとりの橋より垂るる夜の霧」嗚呼、このリリシズム、素敵です。特選句「新胡麻を摺り真っ先に母消さん」パラドックスによる母親讃歌。
- 三枝みずほ
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特選句「ほんとうは走り出したいコスモスよ」可憐なコスモスにも惹かれますが、走り出したいコスモスにはもっと惹かれました。走って色々な世界を見てみたいけど、それが叶わず、今いる場所で懸命に風に揺られて生きる。どこか切なくて、強くて、共感しました。「初時雨浮世離れの友来たる」初時雨のしっとり感と、何かをしでかしそうな友。意外な取り合わせで、今後の展開が楽しみです。
- 古澤 真翠
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特選句「灯台を置くだけの島冬鴎」瀬戸内の島なのでしょうか?一瞬にして瞼に光景がひろがり 哀しさも優しさも包み込まれていくような気持ちになりました。簡潔な表現でありながら、いろいろな思いが醸し出される句だと感じました。
- 竹本 仰
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特選句「爛爛としめじか或いは補陀落か」虚子の句に、「爛々と昼の星見え菌生え」ってあり、それを思い出しました。虚子の句は虚子の句で、あの新興俳句を「病菌」とけなした虚子が、歳をとったらこれかよと、思わずつっこみたくなる句ですが。で、この句は「しめじ」と「補陀落」の取り合わせがおもしろく、作者の脳髄のラインを見るようで、しめじの山の向うに住まれる観音さまという、無いようで有りうる或るなまなましい形而上学が、微笑ましく思えました。特選句「覚悟とは小春日和の大欠伸」さとりの山も高きにあらず、近きにしてしかも己が心中にあり、というような仏教のことばがありました。「覚悟とは」と大上段に振りかぶりながら、「小春日和」、「大欠伸」と、ずんずんミクロにしていくこのつながりが、妙に快感です。人間の小ささを、花マルにしたような、好句です。小春日和の匂いがこもっていますね。
- 月野ぽぽな
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特選句「雨音は明朝体です夜長です」たとえば、秋の夜の読書かもしれない。外は雨。その雨音と書体の境目がなくなってゆく感覚に共感。夜の神秘の一部分。
- 若森 京子
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特選句「見えいて遠いかりん一個と孫の頭と」孫に対する愛情が詩的にうまく表現されている。問題句「カマキリ貌は軍服の宇宙人」感覚的にカマキリを独自の描き方で表現して好きな句、しかし原句のままでは解りにくい。〈カマキリの貌よ軍服の宇宙人〉としては。
- 小西 瞬夏
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特選句「枇杷の花叩いて帯の締め具合」帯をぽんぽんと叩いて確かめる身体感覚。これは決してマニュアルにはならない日本女性のからだの知覚である。これからどこへ行くのだろうか、そのちょっとした決意のようなものもにじませる。それらの感情表現を消すことで、かえってこのときの内面の風景が立ち上がる。その姿に、枇杷の花のやや地味なありようがうまく響きあっている。問題句「雨音は明朝体です夜長です」なんだか詩的な雰囲気に包まれるが、やや甘い。「です」のリフレイン自体が甘いムードなので、内容をもっと乾いた感じにするとか、クールなものにするほうがよりいいのではないだろうか。
- 三好つや子
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特選句「まんじゅしゃげ空にひっかき傷あまた」戦争や環境汚染で傷ついた空の事かも知れない。でも、私はテリトリーや餌などをめぐって喧嘩の絶えない鳥たちの日常を想像。興味深い句です。特選句「息白しドロップのごと人が来る」冬の朝の駅、そして色とりどりの防寒着をまとった人々が目に浮かび、心がホットになりました。問題句「鰤起し大便溢れる町の列」上五と中七の組み合わせに違和感を覚えます。
- KIYOAKI FILM
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問題句「鵙どもりどもりて夜明けわが尿意」恥ずかしながら、この歳で失禁を始めている。約十年間、失禁はしなかったが、精神的に不安定になり、失禁。この頃は、しないようにとの計算により、苦しみの日々。この句を問題句にする必要はないのだが、「鵙どもりどもりて夜明けわが尿意」の語感の良さに、感銘と共に、これは面白い・問題句!特選句「見えいて遠いかりん一個と孫の頭と」孫の頭とかりん一個の比較の良さ。いつも「遠い」というフレーズを使うのは、難しいと思います。なので、この「遠い」は良いと思う。勉強になります。なので、特選です。「かりん一個と孫の頭と」は好いなあと、思うばかりです。
- 木 繁子
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特選句「雨音は明朝体です夜長です」・・「雨音は明朝体」だという措辞が珍しく、「です」の繰り返しも、雨音のようで、とても惹かれました。選びたい句がたくさんあり、選ぶのに迷ってしまいました。
- 加藤 知子
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特選句「ねこじゃらし背筋をなぞりゆく汽笛」字面からも長い汽笛が聞こえて来て、思わず背筋がぞくっとするような。特選句「日のまだら風のまだらや蒼鷹」日の照り翳りや風の強弱・凪など、これからの全てを受けて立つ蒼鷹の覚悟がみえる。
- 稲葉 千尋
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特選句「ねこじゃらし背筋をなぞりゆく汽笛」・・「背筋をなぞりゆく汽笛」の感覚をいただく。特選句「指なめてさびしき糸や秋灯」なつかしい句。昔が、母が繕う姿が、思い出される。針に通す糸が目に浮かぶ。
- 重松 敬子
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特選句「鯨汁魔除けの貝吊る海士の家」能楽の一場面を見ているような幻想の世界。こういう句も楽しい。問題句「見えいて遠いかりん一個と孫の頭と」好きな句です。しかし,もう少し整理した方がもっと良くなるのでは・・・・・?
- 銀 次
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今月の誤読●「北風におしり撫でられたるやうな」。最近はあれなんですってね。「おまえ、そろそろ適齢期じゃねえの?」なんていうのもセクハラになるんですってね。どこまでつけあがるんだオンナども。部下の肩をちょっと叩いてスキンシップをはかろうとしても「あ、セクハラァー」とかいわれてうんざりする男性も多いという。なんてギスギスした世になりはてたことか。その点、森繁久弥は偉大だった。彼は老年になってからも、ボケたふりをして女性の尻を触りまくっていた。むろん若年、中年のころはセクハラという言葉自体なく、「んもう、シゲさんったらあ」などというのどかな言葉のやりとりですんだ。いいなあ、森繁さんは一生「尻」には不自由はしなかったんだよなあ。さて本句だが「おしり撫でられたるやうな」というのは、撫でられたのか撫でられなかったか判然としないということだろう。これは達人の技といっていい。「北風に」の北風さんが実名かあだ名かはしらない。だがその道を極めた「匠」であることは間違いない。いそうだなあ北風さん。坂出市役所の経理課あたりに。ぜひ入門して教えを請いたいものだが、さて撫でたい尻があるかと自問したとき、峰不二子あたりしか思い浮かばない。モンローも死んだしなあ。もう「尻」はいらないという現実もまたある。
- 小山やす子
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特選句「すれちがう紙音秋の巡礼者」すれ違いざまに巡礼者を紙音と捉えた感性は素敵。「遠耳や山ひとつ越え摘入(つみれ)汁」遠い昔の民話のような懐かしさを覚える句です。「ぶつかってしまう石榴の感情と」石榴を割った時の質感を見事に表現していると思います。
- 漆原 義典
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特選句「雨音は明朝体です夜長です」長い秋の夜、雨が降り感傷的になる時間を、明朝体と表現された繊細な感覚に感動し、特選とさせていただきました。素晴しい句です。
- 河野 志保
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特選句「夜が来る優しさ」で切って「芋の露ころり」と読んでみた。自信はないが、私の中で二つの場面が響き合う気がした。「夜が来る優しさ」を一日の終わりの少し寛いだ気分のことと解釈したがどうだろう。間違っているかもしれないが、そう考えると芋の露の輝きや儚さがとても大切なものに思えてきた。私には難しかったがひかれる作品。
- 市原 光子
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特選句「木枯はウォール街の中に棲む」世界の経済を動かす中心地、さもありなんと納得しました。特選句「炎にも水にもなりてまんじゅしゃげ」仏教の四華にも通じるまんじゅしゃげ、見る人の心を柔軟にしてくれます。「ほんとうは走り出したいコスモスよ」問題句ではないのですが、私には「よ」は不要かとも。
- 谷 孝江
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特選句「ぶつかってしまう石榴の感情と」特選句「秋気澄むたましいはもうすぐ光」上手にコメントできませんが只々私の好みでいただきました。「枇杷の花叩いて帯の締め具合」「冬服の黒なら別れられさうな」等など良い句がたくさんで迷いました。ごく最近のことですが「短歌は調べ、俳句は響」と言う言葉に出会いました。十七文字の中に込められた「響」素敵ですね。お顔もお住まいも存じ上げない方々との仲間に入れていただけて嬉しいです。私の句の中にはどれ程の「響」が込められるか分かりませんがとにかく、楽しく、を心掛けて句作りをしています。これからもよろしく。
- 野田 信章
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特選句「まんじゅしゃげ空にひっかき傷あまた」は、見上げる秋空の変容の態を「空にひっかき傷あまた」と感受するところに、この花の赤がひとしお身に入むものがある。さらに、宇宙の彼方でくりひろげられる科学競争―ロケットや衛星の残骸による「ひっかき傷」などー宇宙も病みつつあると言っても過言ではない。そのことに想いをめぐらしているこの地球はすでに病んでいるー曼珠沙華とは天上に咲くという花のことであった。
- 高橋 晴子
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特選句「少年に木の実の叩く窓がある」自然との感応、未来を感じさせる。問題句「道草を食ふて釣瓶を落としけり」秋の日の暮れやすいのをいうのであれば「釣瓶落し」、原句では、単に釣瓶を井戸に落としたの意になる。「冬服の黒なら別れられさうな」「「北風におしりを撫でられたるやうな」の末尾「さうな」、「やうな」の表現は使わない方がいい。
- 田村 杏美
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特選句「役終へし田の広々と冬に入る」情景がすっと目に浮かびます。冬に入るという季語には、寒々しいイメージを持っていましたが、この句では、むしろあたたかさを感じます。そっと包みこむような、そんな季語の使い方がすてきだと思いました。
- 桂 凛火
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特選句「花束の冷えて売られてゆく朝(あした)」寂しさや諦念が、情緒として伝わり、素敵です。「冷えて売られてゆく朝」のフレーズが好きでした。問題句「初時雨浮世離れの友来たる」友達の感じは、よくわかるのですが、「浮世離れの」のがこれではちょっと言葉足らずの感がありましたが、どうでしょう。
- 亀山祐美子
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特選句「炎にも水にもなりてまんじゆしやげ」中七の発見がすばらしい。「曼珠沙華が水になる」と云う感性には初めてお目にかかりました。脱帽です。問題句「ストーブはひたむきに嘘を」ストーブの熱で物は溶けそうな気がします。溶接なら固まりくっつくのでしょうけれど、納得が出来ません。「嘘をかたまらす」は「かたまらせる」と表記すべきではないでしょうか。自分をストーブに置き換えた擬人法が活かされているのかが疑問です。また、「ひたむきに」は、もう一件の問題句「ほんとうは走り出したいコスモスよ」の「ほんとうは」と同じく、もう少し自分を出して頂きたい肝のような気がします。無難にまとめてしまったようで残念です。今回も難解な句が多く、己の読解力不足、感性の低下に溜息です。皆様の句評楽しみにいたしております。
- 中西 裕子
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特選句「半眼でモニターの猫露の朝」半眼が霧の朝と対比してますね、少し眠い、気だるい感じでしょうか、でも猫は気になります。問題句「冬雲や試されている冬雲に」リズムがよく、なにを試されてるのか気になります。「ハロウィンの帽子をかぶり授乳かな」若いお母さんハロウィン楽しみながら子育てもね という明るい風景ですね。「指なめてさびしき糸や秋灯」秋の夜でしょうか、ちょっと孤独な気持ちで縫い物でしょうか、灯りもLEDじゃなくてちょっと黄色い光なのかな?味があります。
- 鈴木 幸江
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特選句「湯豆腐をネギで支へて息をさせ」豆腐の下にネギが入って、鍋の中で上下しているのだろうか?食べ物は、みんな生き物。立派な、アニミズムの句だと思った。問題句「乞食やとうとう母も初時雨」母も”で切って読むのだろうか?乞食”どういう関係があるのか?味わいきれなかった。伝わってくる雰囲気は大好きなのだが。
- 野ア 憲子
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特選句「爪切れば月光に指濡れやすし」今日は満月。障子越しの月の光に促されるように、爪を切り始める。だんだんに沁みてくる月光。そして障子をひらけば・・想像の翼が広がってゆきます。問題句「追憶やいま木枯らしのたどりつく」 木枯らしの中で甦る想い。遠く、ロシア民謡が聞こえてくる。たまらなく惹かれる世界です。「いま」が活きていると思いました。ただ、私は、もう少し、具体的な何かが欲しかったです。
袋回し句会
神
- 神の旅お見合い写真修正す
- 三枝みずほ
- とある朝日記を閉じて神さまとゆく
- 銀 次
- 神は留守ちと淫らなることしたり
- 柴田 清子
銀杏
- ミスド一個おまけに付くや銀杏踏む
- 野澤 隆夫
- 銀杏散る平家九代を守りけり
- な お み
- 銀杏黄葉あの人はもうじき来ます
- 野ア 憲子
渓谷
- 渓谷へ小便小僧紅葉晴れ
- 郡 さと
- 渓谷やびしょ濡れて山茶花
- 野ア 憲子
鴨
- 一羽翔ち一羽降り来て鴨の陣
- 景山 典子
- 茶封筒に紛れ込んだる真鴨です
- 柴田 清子
- 鴨を打つ猟師の頬を風が打つ
- 銀 次
チョコレート
- 宅急便大根白菜チョコレート
- 郡 さと
- チョコレート母と分け合ひ縁小春
- 景山 典子
雲
- 流れゆく雲を見てゐる日向ぼこ
- 景山 典子
- なつかざるドラ猫庭に冬の雲
- 野澤 隆夫
- 冬の雲仰ぎて朝の散歩です
- 木 繁子
枯葉
- 狼の透き通る眼よ日の枯葉
- 野ア 憲子
- ポケットに外れくじあり枯葉舞ふ
- 景山 典子
- 自己主張した週末の枯葉道
- 三枝みずほ
- 枯葉かなしがみついても虫の宿
- 中野 佑海
冬
- 冬の月おおかみ橋を渡りけり
- 野ア 憲子
- 退職日冬の階段駆け上がる
- 三枝みずほ
- 冬将軍白くって顎角ばって
- 柴田 清子
- あてもなくコトデンに乗る冬の雲
- 野澤 隆夫
- 待針の色とりどりや冬ぬくし
- 景山 典子
- 冬日さす背中で暖とる親子猿
- 漆原 義典
- 寡黙なる母に声かけ冬の旅
- な お み
- さざれ石巌に冬の面がまえ
- 郡 さと
句会メモ
句会開始15分くらい前に句会場のサンポートホール高松6階の第67会議室に到着しました。ドアの前には、既に4人の方が待っていてくださいました。嬉しかったです。皆様で協力して、菱形の変形のような、それぞれの方のお顔が見えるように席を並び替え、午後1時少し前から事前投句の選句に入りました。今回は102句の中からの十句(以内)選でした。合評は、特選句、問題句、そして参加者の作品を中心に活発に意見を交換しました。HPには、特選句を中心にお一人一句を掲載させていただきました。全句掲載できないのが残念です。
続く、袋回し句会は、午後2時半位から始まり、お一人一題のお題に、皆さま集中して句を紡ぎ出し、出来た句稿を見ては、思わずニヤリの熱い句会になりました。久々にご参加の、柴田清子さん、見学のなおみさん、ありがとうございます。<出会いは人生の華>を実感する、あっという間の4時間でした。
次回は、12月20日(土)の開催です。ご参加楽しみに致しております。