香川句会報 第47回(2015.1.17)於、サンポートホール高松

事前投句参加者の一句

裸電球土間に餅搗く臼ひとつ 稲葉 千尋
数えきれない程の鯉来て初寝覚 木 繁子
ぎゅっと抱いて小鹿の斑もう消える 桂 凛火
還暦や櫨の実の混沌から始む 加藤 知子
丁寧な医師の問診冬ぬくし 景山 典子
遠くあるわ犬の骨あるわあるわ大雨 KIYOAKI FILM
若草の袴凛々しく弓始 古澤 真翠
初明りメモの余白が和(やわ)くシャイ 久保 智恵
悴んで私にもどれなくなって 柴田 清子
寒満月どこまで兎追ひかける 亀山祐美子
水鳥も少女も母のこゑを聞く 小西 瞬夏
くちびるに雪無防備なわたし 谷 孝江
オリオンに返す秋波(ながしめ)凍てつきし 市原 光子
寒木瓜やはらから持てる運不運  郡 さと
出不精の猫の爪切る小正月 三好つや子
早口の家系っていう寒卵 三枝みずほ
酔ひどれをどこに連れてく雪兎 銀   次
塩鮭をほぐしたくらいラブソング 河野 志保
冬眠の薄目光らせ爬虫類 増田 天志
かん高く鳥なき交わし山起こす 中西 裕子
屠蘇散に混ぜし一夜のラビアンローズ 中野 佑海
正月の孫に腹立つ三日かな 野澤 隆夫
ひそひそと寒林の耳透きとおる 月野ぽぽな
毛皮着て魚臭の町を通りけり 重松 敬子
あひみての後のこころか寒あかね 竹本 仰
アフガンの子ら鉛筆齧る野鼠と 若森 京子
帰り花乗りたい河内修羅車 矢野千代子
ボクサーはめった打ちして年を越す 小山やす子
陽の蜜柑吾(わい)も晩生と山の婆 野田 信章
寒雷の風やまつさらな川底 野ア 憲子
目白二羽庭に来てをり明日は晴れ 高橋 晴子
もうすぐよ水仙たちの新学期 漆原 義典
荒海や水押(みお)しを昇る初日の出 尾崎 憲正
*水押は船の舳先のことです。

句会の窓

柴田 清子

特選句「寒雷の風やまつさらな川底」寒雷と川底と切れ字の「や」からなる硬質の俳句としてとらしてもらった。人間が壊して行ってゐる地球であっても、まっさらな川底があるかぎり私達はこの地球ににんげんとしていられると思った。初句会の特選です。川底は真っ青。

月野ぽぽな

特選句「水鳥も少女も母のこゑを聞く」この声はお説教ではない。きっとつぶやくような母の声だったのだろう。優しい風景に心が和らぐ。「初鴉太陽の種啄めり」の積極的な日向性にも惹かれた。

中西 裕子

特選句「還暦や櫨の実の混沌から始む」還暦に反応しました。自分も混沌からはじむだったからかな。特選句「寒木瓜やはらから持てる運不運」寒木瓜のきれいな色が浮かびます。下の運不運がなにか思い当たるので。「毛皮着て魚臭の町を通りけり」 毛皮の人は美人のような気がします。どんな事情で魚臭の町を。歩いているのでしょう。問題句は「マスク大きく以下省略というかたち」マスクで顔も心も隠しちゃったのかな?省略したいこと色々あります。

増田 天志

特選句「ボクサーはめった打ちして年を越す」やっぱ、寺山修司が忘れられん。特選句「陽の蜜柑吾(わい)も晩生と山の婆」愛媛出身じゃろが。

竹本 仰

特選句「悲しみを綴じる真冬のホッチキス」「綴じる」の使い方がいいですね。「閉じる」から「綴じる」という微妙なグラデーションみたいな響きを背後に感じますし、悲しみを忘れるんじゃなくて、綴じておこうという姿勢に、大ゲサに言えば、文学の目線を感じます。「ホッチキス」の音感もいいですね。カシャカシャと、いさぎよくでも確実に、「悲しみ」を一つの芯に通し、普遍化してゆく、何かとても思い切った営みなのではないかと思わせます。何かが見えている句なんではないかなと思いました。特選句「冬天や声にしてみる男の名」この設定が面白いです。当然、一人でいる時のことなんでしょうが、これは「男」の内容が問題であって、かつてのさる男であっても、「イエス」という男であっても構わないのでしょうが、要は「男」が丸裸にされているという場面が、何とも美味なのかなあと。でも、もし知り初めしということなのなら、自分が丸裸にされているわけで、そのへんはいか様にも読めるものの、「冬天」に「声にしてみる」その行為がすでに何かなわけだから、読み手に「そこまでする?」と思わせたところで、この句は成功しているんではないかなと。問題句はありませんが、全体的に気になったのは、現代俳句というものの延長で来るものか、口語特有の切れのなさという欠点でしょうか、なんか読んでいる最中、ふととりとめのない気持ちになりました。もちろん、口語の味もありますが、その長短を疑ってみるということが大事なのでは、とも思いました。一読者として、差し出がましいひと言でした。本年も、よろしくお願いいたします。 

河野 志保

特選句「ひそひそと寒林の耳透きとおる」寒林に囲まれたときのこの上ない静けさを感じた。枯葉が風に動く音や小鳥の羽音。耳を透き通らせるほどに聞いている情景だろうか。

尾崎 憲正

特選句「毛皮着て魚臭の町を通りけり」漁業が盛んな町と毛皮を着た人の居る非日常性が面白く感じられました。わたしは年末年始の帰省の情景を思い浮かべたのですが、普段は高齢者が多い町に若者が居る華やいだ景色が上手く表現されています。魚臭の町”とは好く言ったものです。漁港や漁具のある風景がこの一言で浮かび上がりました。

三枝みずほ

特選句「丁寧な医師の問診冬ぬくし」筆者の発見、医師の志に感服。医療の発達した平成の世だからこそ、光る一句だと思い、特選句に頂きました。問題句「遠くあるわ犬の骨あるわあるわ大雨」遠くにあったはずの不安か何かが、「あるわ」のリフレインでだんだん自分に近づいてくる感じに共感。「犬の骨」にどこか違和感を覚えたので、問題句にさせて頂きました。  

漆原 義典

特選句「くちびるに雪無防備なわたし」は、くちびるに雪を無防備と表現したところに、感傷的な心情とセクシーさが感じとれました。また、わたしと一人称としているところに親近感を感じ、うまい句だなあと思い特選句とさせていただきました。

加藤 知子

特選句「句を詠んで冬満月を眠らせる」冬満月の得も言われぬこの美しさ、どうしよう〜。句に閉じ込めて眠らせてしまえ。特選句「塩鮭をほぐしたくらいラブソング」お手柄は、「塩鮭をほぐ」すという喩を措辞したことだと思いました。問題句「枯葎発火寸前雨ン中」・・「枯葎発火寸前」と読んできて、次はどうくるかなとわくわく期待した。そうしたら雨の中!だった。がっかりした。

中野 佑海

特選句「白き肌聖女気ままに羽根布団」全ての言葉が柔らかく脱力感に溢れている所がとてもまったり出来て良かったです。柔肌乙女のモコモコ感たっぷり。特選句「荒海や水押(みお)しを昇る初日の出」此方は全く反対で、いなせな法被の若衆ハッキリとクッキリと衿を正して新年の日の出を拝ませて頂きます。というハッハー有り難き俳句頂戴致します。

小西 瞬夏

特選句「一月の日向に人を置いて来し」空気は冷たくキンとしているが、日向はやや寒さもやわらかく特別な空間である。そこに人を置いてきた、という。人とはだれだろう。老いた父か母か。それとももう一人の自分か…。どちらにしても何かあたたかく、でも距離を取りたいという、その「人」との関係や距離のようなものがぼんやりと立ち上がる。そして、置いてきた作者の心象もあれやこれやと見えてくる。問題句「降る雪をどこまでも読んでいきたい」詩情はあるが、なにかまだ未完成でやや幼さを感じてしまうところが残念。

野澤 隆夫

特選句「オリオンに返す秋波(ながしめ)凍てつきし」オリオンに流し目されたあなた。そして、流し目で返すあなた。でも、凍てついて返せなかったとは…。面白い。もう一つの特選句「毛皮着て魚臭の町を通りけり」昭和40年代初め、小豆島の陋巷で4年間過ごした。その町は阪神からの連絡船のつく港町。盆、暮には地元に帰省する人の、こんな光景をよく見た。懐かしい。

KIYOAKI FILM

特選句「モノクロの記憶の底に囲炉裏の火」モノクロの囲炉裏では、熱さは伝わりにくいが、想像は自由自在。山頭火の囲炉裏の写真も、アッチアチ」、「記憶の底に」の「・底・に」「囲炉裏・の・火」に、語句の快感を覚えてしまう。一番好きなのは「・記・憶・の・底・に・」の間合いである。特選句。問題句「水鳥も少女も母のこゑを聞く」誰の母なのだろう。天地万物の母、は、違うし、ヒトでも動物でも、お母さんはお母さんではないか。誰の母か、水鳥の母も私の母のようであり、少女の母も水鳥の母なのだろう。「も」「も」の妙に居心地の整いも、気持ちよい問題句。

銀   次

今月の誤読●「塩鮭をほぐしたくらいラブソング」。「塩鮭をほぐした」のか。なるほど、これから鮭茶づけをつくろうってんだろ? いやいや、かくいうわたしも酒のシメに鮭茶づけは定番なんだよ。旨いんだなあ、これが。やっぱり白だしかい? ごま塩ふりかけて、きざみノリとわさびでサラサラと。白菜のお漬け物なんか添えたら最高だね。さて作者はここで謎をかける。迷探偵を自認するわたくし、銀ちゃんへの挑戦状とみた。下句の「くらいラブソング」。なんのなんの。暗いラブソングで中島みゆきあたりにミスリードしようとしたんだろうが、そうはいかんよ二十面相くん。これは、こう読み解くんだ。ラブソング=恋歌=こいうた。すなわち「くらいこいうた」と。おや、顔色が変わったね。フフフ、わかってるよ。これはアナグラムになっているんだろ。「くらいこいうた」の字の並びををチョイチョイと替えると「たらこくういい」、すなわーち「タラコ食う、いい!」となる。キミのお茶づけは塩鮭だけでなくタラコも入っているゼイタク茶づけなのだ! 「塩鮭をほぐしたタラコ食う、いい」つまり、謎を解いたとたん、わたしをうらやましがらそうっているコンタンだったのだ。た、たしかに、うらやましい。消費税導入以来、タラコは高級食材だ。く、くそー、オレにも食わせろ! 塩鮭、タラコ、ダブルトッピングのお茶づけを!てなことで、ジャンジャン。

三好つや子

特選句「遠くあるわ犬の骨あるわあるわ大雨」あるわのリフレインが、作者のどしゃ降り状態の心を感じさせる、不思議な句。とても刺激を受けました。特選句「早口の家系っていう寒卵」生意気で、議論好き。言いたい事がいっぱいあって、早口になりがちな人を想像。寒卵が効いています。問題句「不意に後ろしぶくやしぐれ前世めき」特選に近い魅力的な句ですが、下五が想定内。もっと意外な言葉が欲しい。

景山 典子

特選句「出不精の猫の爪切る小正月」・・・「小正月」は「女正月」と受け取りました。(厳密には違うのかもしれませんが・・・・)女性にとっては忙しいお正月も終わり、ゆっくりとできる一日がやって来た。飼い猫の爪でも切ってあげましょうと、作者も猫ものんびり、ゆったりとした時間を過ごしている平和な雰囲気が良いですね。猫が出不精というのも面白い!

古澤 真翠

特選句「雪晴れや藍で染めたる阿波の山」海から見える淡路の山々、「眉のごと 雲居に見ゆる阿波の山 かけて漕ぐ舟 泊まり知らずも」昔、書道の作品に書いた景色が蘇って 暫し、藍色の世界を漂いました。

稲葉 千尋

特選句「梅ふふむ縄文土偶腰を反る」〈梅ふふむ〉と〈土偶の腰の反り〉とが、何とも美しい。特選句「くちびるに雪無防備なわたし」無防備な唇にとても色気を感じます。「九絵鍋の湯気はらからの行方かな」九絵は〈クエ〉でも良かったのでは?

郡 さと

特選句「あひみての後のこころか寒あかね」・・・「あひ見ての後の心にくらぶれば昔はものも思はざりけり」  百人一首の本歌取でしょうか。寒あかねがいいですね。茜色が良く効いていると思いました。「かん高く鳥なき交わし山起こす」・・こんな句を思い出していました。 「塊の石堕ち眠る山覚ます 碧子」  季語を入れること簡単でないですか? あえて辛口発言です。悪しからず。

竹本 仰

季語、むつかしいですね。あのプルーストの「失われた時を求めて」の初め、主人公はプチット・マドレーヌの香りの中に、コンブレーという少年の空間と時間が凝縮されているという発見に酔うのですが、そのくだりを読んでいる最中に、季語とは何かが匂わされているような感触を味わったのです。まさにプチット・マドレーヌの一滴。あと、第二編の「スワンの恋」でも、カトレアが性愛の入り口として働き、その語感に酔うという一節があり、はあ〜っと感心してしまうような観想があります。プチット・マドレーヌの一滴、それをめざすのも、しかし、かなりのことだなと。密教で言えば、あの梵字の一つ一つが種子(しゅうじ)であり、大いなる神秘への入り口となるわけですが、ああいう深層へのダイナミズムの大事な手形のようなものかとも。 さて、話は変わりますが、今年は高野山開創千二百年ということで、お大師さまが明州から日本へ投げられたという、その三鈷杵のレプリカが、今、全国を行脚しています。それを結縁行脚というのですが、そのお迎え行事に、わが淡路島では「高野への道」という芝居をすることになり、急遽、元高校演劇部顧問の私にも、演出のお呼びがかかり、お坊さんのお芝居につきあうことになりました。けっこう楽しんでいるのですが、さすがにお大師さんの役になった方は、熱い演技をされています、そうですよね、お大師さんを追体験できるなんて、ありえませんものね。気分が高揚して、夜の九時まで頑張り、我々の練習場のお寺の広間で、その間ずっと掛け軸の大きなお大師さんが見つめていたのに、ふと気づき、手を合わせ。今日は、一生懸命、台本の手直しをし、親分に当たる方に車で往復一時間かけて届けて来ました。そうですね、お大師さんが観られても「よくやった、楽しんだ」とおっしゃっていただくように。いちおう前進座が作ったお芝居が土台となっているのですが、お坊さんがやると、また全然ちがったニュアンスになるのが面白いですね。ということで、あとひと月、何とかせねば。また、俳句もがんばります。今後とも、よろしくお願いします。→興味深いメールを頂きましたので、竹本さんのご許可を得て再登場していただきました。ありがとうございます。

桂 凛火

特選句「アフガンの子ら鉛筆齧る野鼠と」時代をひしひしと感じました。遠いようで近い世界のことを考えさせられる、事件があったこともあり、本当に戦いの多い この時代の光と影を思わせる一句だと思います。野鼠がとく効いていると思います。問題句「悴んで私にもどれなくなって」あまりに散文的なのかもしれませんが、奇妙なリアリティに心惹かれました。

重松 敬子

特選句「アフガンの子ら鉛筆齧る野鼠と」人類の平和のため、私達はこの過酷な現実の中で生きている、イスラム諸国の子供達にこそ、期待と応援を続けなければなりません。良い句だと思います。問題句「遠くあるわ犬の骨あるわあるわ大雨」新しい表現に挑戦するのは、賛成です。しかし何を言われたいのか、作者の気持ちが伝わってこないのですが・・・・・・・。

谷 孝江

特選句「悴んで私にもどれなくなって」実感です。吹雪く夜は孤独感のかたまりになっています。特選句「毛皮着て魚臭の町を通りけり」昔見た映画の一シーンにこんなのなかったっけ、懐かしいような切ないような、そんな思いに捕らわれました。

亀山祐美子

今回これは是非頂きたいという句が見当たりませんでした。風邪で判断力が鈍っているのでしょうか、ハートに突き刺さる句が無く、特選句はお休みさせていただきます。なお、「ジャジャジャジャーン乙未(きのとひつじ)の初御空」は、俳句以前の問題句と思いました。俳句以前と言うのは、誰がどんな句を創ってもよいのですが、句会のまな板に乗せるものには、自選力も問われていると言う自覚の無さです。一読「あんた俳句なめとんかい」と、うめきました。風邪のせいです。次回は是非感動で、悔しさでむせび泣く程の句をご披露下さいませ。私も今年の一句目指して精進したいと思います。今季のインフルエンザは熱が高くならないそうです皆様ご自愛下さいませ。

高橋 晴子

特選句「片耳に野性の残る虎落笛」飼われている犬か猫が虎落笛を聞いて片耳を動かせたのだ。それを「野性の残る」と表現したところに、動物に対しての哀れみと愛情を感じさせる。問題句「正月や殺せし母と添ひ寝する」同居する親族を殺す事件があとをたたない。「殺せし母」という表現は現実ではなくて胸の内でそう思ったことがある程度の殺せしだろうが、表現として言い過ぎで工夫が欲しい。〈詩〉は〈志〉で、何を言ってもいいというものではないと思う。

野ア 憲子

特選句「ひそひそと寒林の耳透きとおる」作者は、無音を聴こうとしているのではないだろうか?〈ひそひそ〉の奥にある寒林の深い沈黙を感じました。問題句「遠くあるわ犬の骨あるわあるわ大雨」大雨の中、ただ〈犬の骨〉がある。それが、〈あるわ〉〈あるわ〉の繰り返しにより、映像が鮮やかに立ち上がってまいります。特選に匹敵する冒険句でした。それから、先の亀山さんのご鑑賞に触発され一言。「ジャジャジャジャーン乙未(きのとひつじ)の初御空」を頂戴しました私の感想を・・「ジャジャジャジャーン」は、ベートーベンの交響曲『運命』の冒頭の一節。「乙未の初御空」といい、まさに淑気の塊り。初句会の一番句にふさわしいと思い頂戴しました。祐美子さん、お風邪の中、気合の籠ったご選評をありがとうございます。皆さまの辛口の句評、勉強になります。大歓迎です。とにかく、「何でも有り」が海程の句会です。次回も、自由な発想の作品を、楽しみに致しております!

(一部省略、原文通り)

袋回し句会

探梅

その先は海行き止まり探梅行
銀   次
探梅や一瞬無言になる二人
三枝みずほ
阿波奥に卑弥呼伝説梅探る
郡 さと

椅子

椅子投げて一月を壊してしまふ
柴田 清子
椅子影に野良猫隠る四温かな
野澤 隆夫

ポスト

真夜中のポストに佇てり雪女
景山 典子

お隣は目元パッチリ黒セーター
中西 裕子
今日も来て冬の名残のあんたの目
柴田 清子

葉牡丹

葉牡丹に新しき日の差し始む
景山 典子
葉牡丹や紅白一線婚活す
中野 佑海
時に唸りときに雀躍して葉牡丹
野崎 憲子

おでこに雨ポインセチアの香りかな
野ア 憲子
明け方の夢に水仙の香り
三枝みずほ

楕円

楕円といふはやぶさの天文学
銀  次
青春は多くの人が楕円です
尾崎 憲正
しゃぼん玉楕円で生まれきたりけり
郡 さと
孫創る楕円の餅を神棚へ
漆原 義典

句会メモ

本年の、初句会でした。午後12時間半に、句会場の鍵を受けとれるのですが、私は、またまた少し遅れてまいりました。もう、すでに、二名の方が到着され待っていてくださいました。嬉しかったです。ほぼ定刻通り、事前投句の選句から始まりました。初句会にふさわしい、気合に満ちた作品と鑑賞に、句会終了近くになりますと、少し電池切れ状態でした。でも、すごく楽しかったです。来月は、もっとパワーアップして参りたいです。

 

合評も、「句会の窓」のコメントも、作者名不明のままで、思う存分、意見を言われていて、爽快です。句会報では、それが同時に開示されていますので、どうかご寛恕のほどを、お願い申し上げます。「俳句は喧嘩だから、兜太するんじゃないよ」は、少年だった金子先生へのご母堂さまのお言葉。でも、お母さまも、俳句の面白さを十分わかっていらっしゃったと存じます。 これからも、ご自分の思いを17音に思いっきりぶち込み(少々荒っぽいですが)、感じるところを、臆することなく議論し合っていただければ幸いです。そこに、清新な風が生まれてくると強く感じます。

今年、「海程」香川句会は、発足五周年を迎えました。ご参加の皆さま方のお陰さまです。世界最短定型詩である俳句の力を信じて、ますます、熱く渦巻いて行きたいと念じています。今後とも、宜しくお願い申し上げます。

野ア憲子記
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